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失敗しない
塗替えリフォームで失敗しない為に、外壁塗装の定石や基礎知識などをまとめました。
塗替えを検討されてる皆様のご参考になりましたら幸いです。
コチラに書かれていない情報に関してはどうぞ遠慮なくご質問ください。
▼ 塗替えの目的
建物の保護が1番の目的です。紫外線や風雨に晒される外壁は劣化が進み保護機能を失いますと、外壁自体が水を吸うようになり益々劣化が進行します。更に進行するとひび割れを起こし雨水が建物内に侵入、柱などが腐食し構造強度が低下して建物寿命が短くなる事となります。そのような事態を未然に防ぐのが塗装の1番の目的です。人が手肌荒れ防止の為にハンドクリームをするのに似ていますね。
▼ 3回重ね塗りの理由
塗膜の耐久性を上げるのが理由です。保護機能を失った外壁に仕上げ塗料を直接塗ると吸い込まれて不均一な仕上がりとなり、密着性も低く短期間で色褪せや剥がれ等の症状が現れます。そこで外壁が塗料を吸い込まぬよう、表面の状態を均一にするのが1回目の下塗りです。2回目は仕上げ塗料を塗りますが、仕上げ1回では塗膜が薄く下塗り塗料を完全に隠す事も出来ないため、もう1度仕上げ塗料を塗って計3回の重ね塗りをするのが塗替えの定石工程となっています。女性が化粧水でお肌の状態を整えてからファンデーションを塗るのに似ていますね。
▼ 塗装前に高圧洗浄する理由
下塗り塗料の密着性を高める為です。汚れ・苔・藻などが付着した外壁にそのまま下塗り塗料を塗りますと密着せず、短期間で剥がれ等の症状が現れます。下塗り塗料を外壁材に直接密着させる為に、下塗り前の高圧洗浄は必須の工程となっています。
▼ 高圧洗浄の水道料金は120円程度
一般的な30坪(約100㎡)前後のお家の高圧洗浄は、300〜400リットルほどの水を使用します。水道代は1リットルあたり約0.2〜0.3円ですので、「0.2円×400L=80円」「0.3円×400L=120円」。つまり、約80円〜120円程度ですので、水道代の事はそれほどご心配される必要は無いでしょう。
▼ 塗替え時期の目安
10年~15年を目安としてお考え下さい。西日が当たる西面、北風が当たる北面に傷みの症状が現れ始めたら塗替え時期です。普段目にする玄関周りが綺麗であったとしても、10年が経過されましたら西面・北面に異常が無いか確認されてみることをお勧め致します。
▼ 外壁を触ると手に付く粉
チョーキング(白亜化)と呼ばれる現象です。紫外線・熱・風雨等で塗膜が劣化し粉状になる現象で、塗替え時期を見極めるための1つの指標となる劣化症状になります。
▼ 外壁のヒビは塗装で直るのか
直せるモノ・直せないモノがございます。小さなヒビ割れ程度であれば補修剤で埋めた後に塗装する事で完全に修復する(隠す)事ができますが、大きく深いヒビ割れですと塗装では難しく外壁材の張替が必要となります。
▼ 外壁塗装の回数限度
一般的な外壁材であれば2~3回は塗装できます。とは言え適切にメンテナンスされている場合に限りますので、あまりに劣化が進んでいますと塗装1回どころか張替えしなければならなくなりますので、定期的なメンテナンス(塗替え)が推奨されております。
▼ 塗装に適した季節
春や秋が最適です。気温5度以上、湿度85%以下、この条件を満たせば塗装は通年で行えますが、気温が安定し湿度も低い春秋は最も塗装に適した季節と言えます。梅雨時期や台風時期でも塗装は問題無く出来ますが、天候の影響で工期は伸びる傾向にあります。また冬も乾燥に時間を要するため、やはり工期は少し長めになります。
▼ 屋根は外壁と同時に塗装すると経済的
外壁と同時に屋根も塗装するのは理想的です。建物全体の耐久性が増しますし、何より足場を共用出来る事によるコストメリットが大きいです。外壁と屋根それぞれ別々のタイミングで塗装しますと、その都度足場の設置が必要となり高くつく事となります。
▼ 塗装できない屋根材がある
石綿(アスベスト)の危険性が認識され、屋根材の成分として石綿(アスベスト)が使われる事が無くなった1990年〜2004年頃までに製造された屋根材の多くが塗装できません。正確に申しますと塗れないのではなく非常に脆い為に人が乗ると割れてしまい、余計に状態を悪くしてしまうのです。
塗装できない代表的な屋根材としては「パミール(ニチハ)」「コロニアルNEO、ザルフグラッサ、アーバニー、セイバリーNEO(クボタ|現ケイミュー)「レサス(松下電工|現ケイミュー)「グリシェイドNEO、エコシンプル(久保田松下電工|現ケイミュー)「セキスイ瓦U(セキスイルーフテック|現積水屋根システム)「ナチュール(大建工業)」などがあります。このような屋根をメンテナンス・修理する場合は「カバーリング」もしくは「葺替え」が推奨されます。
▼ シーリング打替えも外壁と同時が経済的
外壁塗装と同時にシーリングも打替えするのは理想的です。シーリングが劣化すると水漏れやヒビ割れの原因となり、目地から雨水が侵入してしまってはせっかくの外壁塗装も無駄になってしまいます。外壁塗装用の足場が架かっているタイミングでシーリングを打替えするのは、コスト的にも非常にメリットがあると言えます。
▼ シーリングとは
外壁の目地や窓の隙間を埋める弾性のあるゴムのような充填材のことです。雨水の侵入を防ぎ、建物の防水性や気密性を高める役割を持ちます。経年劣化するとヒビ割れや剥離が発生し防水性能が低下するため、10年前後を目安に打替えされると良いでしょう。
▼ 雨樋も外壁と同時が経済的
劣化防止の観点から雨どいの塗装もオススメです。外壁塗装のタイミングで一緒に塗れば足場費用の節約にもなりますし、美観も向上して一石三鳥と言えます。尚、20年が経過している雨樋は劣化の進行により塗装ではなく交換が推奨される場合もございます。
▼ ベランダ床の防水塗装は重要
ベランダは雨漏りの原因となり易い場所で、ここの防水機能を維持する事は建物寿命を延ばす事に直結します。外壁塗装をするタイミングで一緒にベランダ床の防水塗装もされるのは理想的なメンテナンスと言えます。
▼ 錆びた鉄部は塗装可能
但し、そのまま塗ると塗膜がすぐに剥がれますので塗装前にワイヤーブラシやサンドペーパーで錆落とし(ケレン)をし、それから錆止め塗料を塗って仕上げ塗りをする事で密着性の高い長持ちする仕上がりとなります。しかしながら朽ちてしまっている錆ですと塗装ではなく交換が推奨されます。
▼ 工事の事前準備
玄関周りの小物、植木鉢やプランター、ガーデン家具や自転車などの移動が必要になる場合があります。加えて、職人の足元確保の観点から除草が必要になる場合があります。また、庭木が外壁や屋根に覆い被さっていますと足場架設の観点から剪定が必要になる場合があります。いづれもケースバイケースとなりますので、どうするのが良いか塗装屋さんに事前に相談されると良いでしょう。
▼ 騒音について
高圧洗浄時、足場の設置・解体時には大きな音がします。音に驚いたワンちゃんが吠える事がありますので、その間はお散歩に出掛けるなどされると良いでしょう。塗装作業においては大きな音が出る事はございません。
▼ 塗料の飛散について
足場に防護ネットを掛ければ飛散の心配はございません。但し、防護ネットを掛けていてもスプレー塗装される場合は飛散の恐れがございます。防護ネットを掛けるのか、塗装は手塗りか、塗装屋さんに事前に確認されると良いでしょう。
▼ 工事中でも住み続けられます
塗装は住みながら工事を進められます。但し、塗装中は窓の開閉が制限されることや、作業音・塗料のニオイが発生することがあります。特に高圧洗浄時や足場設置・撤去時は騒音があるため、事前にスケジュールを確認し、生活に支障が出ないよう調整されると良いでしょう。
▼ ご不在でも工事はできます
塗装は基本的に外作業ですので、お家の方がいらっしゃらなくても工事が出来ます。お留守にされる際はシッカリと施錠・戸締りをされてお出掛けしましょう。
▼ 電気や水道も使えます
塗装工事は基本的に外部作業のため、電気設備や給排水設備には影響しません。但し、工事車両や足場の設置状況によって、一時的に屋外水道へのアクセスが制限されることがあるため、事前に確認されると良いでしょう。
▼ エアコン・換気扇も使えます
全て平常通りご使用頂けます。但し、換気扇や給湯器の排気口周辺を塗装する際、一時的に使用制限がかかる場合がございます。また、エアコン室外機の近くを塗装する場合、カバーをかけるために効率が落ちる事がございます。使用制限がかかる・かからない、又、そのタイミングは工程にもよりますので、塗装会社に確認されると良いでしょう。
▼ 玄関は常時使用できます
玄関にも塗料の付着防止の養生を施しますが、開閉できるように養生されますので工事中であっても問題無く出入りして頂けます。
▼ 窓は開けられません
窓は全てビニールで養生されますので基本的に工事中は開閉できません。どうしても開閉したい窓がおありの場合は、塗装会社にご相談されて下さい。大概はご対応頂ける場合が多いと思います。
▼ 洗濯物は外に干せません
お洗濯物は外干しは出来ないものとお考え下さい。塗料の飛散、ニオイの付着、高圧洗浄時の水飛沫が掛かる可能性がある為です。塗装工事中のお洗濯物は中干しされるか、乾燥機などで対応されてください。
▼ 塗料のニオイで気分が悪くなる方はいます
稀に溶剤系塗料のニオイで気分が悪くなる方はいらっしゃいます。水性塗料であればニオイは軽微ですので、ご心配な方は水性塗料を選ばれると良いでしょう。尚、水性塗料であっても発色性や耐久性は溶剤系塗料と全く遜色ございません。
▼ 塗料の種類と耐用年数
塗料の種類は大別すると5つです。①アクリル(期待耐候:5~7年)②ウレタン(期待耐候:8年前後)③シリコン(期待耐候:10年前後)④フッ素(期待耐候:15年前後)⑤無機(期待耐候:15年超)で、期待耐候が長い塗料ほど高価になります。一般住宅の塗替えにおいては、コストと耐久性のバランスが良いシリコンがスタンダート塗料になっています。
▼ 塗装で選べる色
どのような色でも選べます。塗料メーカーのカラーサンプルに載っている約20色はあくまで使用頻度の高い色であり、実際には日本塗料工業会が制定する約650色の中から自由に選ぶ事が出来ます。但し、マークの付いた品番は特殊色として割高となりますので注意が必要です。
▼ クリア塗装とは
無色透明の塗料を塗ることです。現在の外壁デザインを活かしながら保護する塗装方法で、特にサイディング外壁のデザインを残したい場合に適しています。汚れや紫外線による劣化を防ぐ効果がありますが、既に劣化が進んでいる外壁には施工ができません。
▼ 白や淡い色は汚れが目立つ
白や淡い色はホコリ・雨だれ・排気ガスなどの汚れが目立ち易い傾向があります。但し、防汚性の高い塗料やセルフクリーニング機能を持つ塗料を選ぶことで、汚れの付着を軽減できます。また、艶のある塗料を選ぶと汚れが付きにくくなるため、白系の色を選ぶ場合は艶アリ塗料を選ばれると良いでしょう。
▼ 黒い色は夏の屋内が暑くなる
黒や濃い色は太陽光を吸収し易く、外壁や屋根の表面温度が上昇し、室内温度も上がる可能性があります。特に夏場は熱がこもり易くなるため、遮熱塗料を使用すると熱の吸収を抑えられます。また、断熱材がシッカリしていれば影響を軽減できるため、建物自体の断熱性能も重要です。
▼ 溶剤系塗料と水性塗料
有機溶剤(シンナーなど)で希釈するのが溶剤系塗料、水で希釈するのが水性塗料です。溶剤系は密着性や耐久性に優れ、屋根や鉄部の塗装に適していますが特有のニオイがあります。水性塗料は環境や健康に配慮され、ニオイも少なく外壁の塗装に適しています。水性塗料は溶剤系塗料に比べて密着性や耐久性が若干劣ると言われておりますが、最近の水性塗料は性能が向上して溶剤系塗料に匹敵するモノも登場しています。尚、水性塗料であっても完全に乾燥すれば雨水で溶ける心配はございません。
▼ 断熱塗料と遮熱塗料
断熱塗料には熱の伝導を抑える成分が含まれており、夏の室内温度の上昇を防ぎ、冬の暖房効率を高める働きがあります。一方、遮熱塗料は太陽光の熱を反射し、屋根や外壁の温度上昇を抑えることで夏場の室温上昇を軽減する効果が期待できるモノで、冬季には効果を発揮しません。
▼ 断熱効果
一般的な塗料では大きな断熱効果は得られませんが、断熱塗料や遮熱塗料を使用すれば一定の効果が期待できます。但し、壁や屋根の断熱材の性能も重要ですので、塗装のみで劇的な変化は期待されない方が良いでしょう。
▼ 防カビ・防藻効果
一般的な塗料では大きな防カビ・防藻効果は得られませんが、防カビ・防藻機能を持つ塗料を使用すれば、一定の効果が期待できます。特に湿気の多い場所や日当たりの悪い外壁ではカビや藻が発生し易いため、防カビ・防藻剤が配合された塗料を選ばれると良いでしょう。但し、完全に防ぐことは難しく、長期的な効果を維持するには定期的なメンテナンスが重要です。
▼ お家の価値向上
塗替えによって外観が美しくなり、建物の耐久性が向上するため、資産価値の維持や向上に繋がります。特に売却を考えている場合、第一印象が良くなることで査定額にプラスの影響を与えることがあります。但し、単純に塗装しただけでは市場価値が大幅に上がるワケではなく、建物全体の状態やメンテナンスの履歴も重要な要素となります。
▼ 訪問セールスはほぼ悪徳
急に営業に来る業者は9割以上が悪徳とお考え頂いて差し支えございません。「勝手に話をし始める」「このままだと大変な事になると脅す」「調べもせずその場で金額を提示してくる」「今この場で決めてくれたら値引きすると言って契約を急かす」「オリジナル塗料だから、キャンペーン中だから、とお得感を打ち出してくる」「呼んでいないのに何度も来る」「プリウスに脚立を積んでやって来る」などなど、これらどれかに当てはまるような事をされるようでしたら悪徳業者と判断して頂いてまず間違いございません。
▼ 大手ハウスメーカーは要注意
一般論ですが、大手ハウスメーカー様は工事を下請けに出しますので、余計な中間マージンが上乗せされます。実際の工事は良くて孫請けが、場合によっては曽孫請けにまで話が行き中抜きされ尽くした出涸らしのような金額で塗装される事に。そうなりますと契約とは異なる粗悪な塗料で、3回塗りを1回塗りに減らした手抜き工事をされる事となり、法外に高い金額で粗悪な工事をされるという悲劇を招く事になりかねません。慎重にご検討ください。
▼ 極端に安い見積りのカラクリ
極端に易い見積りは超低品質な塗装となります。「アルバイトが塗る」「外国人が塗る」「粗悪な塗料を使う」「塗料を極限まで薄めて使う」「乾燥を待たず次の工程に進んで日数短縮する」「洗浄を行わなかったり、3回塗りを1回で済ませたりと必要工程を省く」などしてコストダウンを図っているのです。当然のように仕上がりは悪く、1年も持たないでしょう。
▼ 極端に高い見積りのカラクリ
極端に高い見積りは過剰な利益が上乗せされています。過剰利益とは「塗装面積を盛って計算している」「大幅値引きを見越して吊り上げてある」などです。過剰利益では無いとしても「ショールームを構えていて運営経費が掛かりすぎている」「営業専門スタッフを抱えて人件費がかかり過ぎている」等で経費が嵩んでしまっている場合も。一般的な二階建てのお宅の外壁塗装だけで150万円以上するようなお見積りは、どのような高級塗料であったとしても法外に高いとお考え頂いて差し支えありません。
▼ DIYとプロの塗装の違い
仕上がりや耐久性に大きな差が出ます。DIYでも塗装は可能ですが、プロは適切な下地処理や塗料の選定、技術力によってムラのない均一な塗膜を形成し、長期間美観を維持できます。一方、DIYでは不十分な施工による剥がれ・ムラが発生し易く、短期間で塗り直しが必要になることとなり、時間とお金を無駄にする結果となります。何より一般の方の高所作業は非常に危険です。